とある辺境にある小さな町のフラジール。
そこには修理屋として働く、アーリィという名の若者が暮らしていた。
富みはなくとも不自由もなく、馴染んだ町の中で居場所があった。
若者はその日、町中の人々が止まっているのを見かける。
それは一枚の写真に収められたかのように、
動作のある瞬間だけを切り抜いた不自然な格好のまま、あらゆる動きが停止した
まるで模型みたいな無機質の世界が取り残されていた。
当たり前に過ぎ行くと思い込んでいた日々は、何の前触れもなく
まるで別のものに摩り替わっていた。
そしてこの圧倒的な静けさの中ではむしろ異常にも、のそりと歩いている人物･･････。
思わず呼び止めた若者に、その人物は振り返ってこういった
「お前は電池が切れていないのか」と。
何のことかわからなかった若者は言われるままについてゆく。
気がつけばそこは見覚えのある町並みとはかけ離れた幻想的な虚空が広がる。
そこでその人物は男がロボットであることを明かすのだった･･････。